これは人生で指折りのショッキングな出来事でした。このことは、ふたつの稀有な体験をしなければ気づけなかったでしょう。その体験のひとつは、ヒツジやヤギ、ニワトリの飼育を始めたことです。そしてもうひとつは、長女の「自然出産」です。先日、長女は5人目の子供を自宅で産みました。医師や助産師に頼らない自然出産です。長女は初め、助産院で出産していましたが、3人目からは自然出産に切り替えています。
私が仲間とともに家畜の飼育にチャレンジしたのは2023年初夏からです。肥料・農薬を一切使わないHalu農法を実践していますから、家畜のエサも無限に作ることができるはず。そこで、いよいよ家畜の飼育を始めることにしました。もちろん、何も知らないところからのスタートです。知らない者の強みで、出産も獣医師に頼らない自然出産を目指しました。そのためにいろいろ調べていくと、家畜の飼育には多種多様な薬が必要だと知りました。また、出産に関しても人間がスケジュールを管理しないといけないようでした。そんな情報を仕入れたときに私が感じたのは、「これって人間の出産と同じではないか」ということでした。
スケジュール通りのお産を完了させるために妊婦を薬漬けにする。詳しくは書きませんが、妊婦に自由意志はありません。家畜もいっしょです。しかし、私たちは、家畜の自然出産を選んでいたので、ただただ「見守る」だけでした。結果はというと、2024年3月30日、かわいい仔ヒツジ(メス)が誕生しました。その後の経過を見ていると、とても頭が良くて元気で、病気などものともしない素敵なヒツジさんに成長しました。(ヤギはメスだけなので出産しません。ニワトリはまだヒヨコを飼い始めたばかりで、自然ふ化は未経験です)
そして長女の自然出産の経過を聞くと、いまの人間の出産は異常であることが理解できました。これも、私は自然出産に立ち会ったことがないので、詳細は書けませんが、いずれ長女夫婦が世間に発信を始めてくれると思います。触りだけ書くと、お産はとてもスムーズで、赤ん坊はすこぶる元気。自慢話と受け取られても仕方がありませんが、孫たちとすれ違う町の人たちが「ほかの子供たちと全然違う」とよく声を掛けられるそうです。身体の中から元気があふれているのかもしれません。
いま、つくづく思うのは、「人間のお産と家畜のお産はまったく同じである」ということです。人間が家畜のように扱われている、という意味ではなく、人間も家畜も「管理されるべきもの」だと考えられているように見えます。現代の人間は世界に80億人もいて、巨大な社会を営んでいます。大量の食べ物を確保しなければいけないし、大量の人間を産まなければいない。となると、効率よく管理しなければいけなくなる。それはごく普通の思考なのでしょう。
しかし、私は違う考えを持っています。人間も家畜も地球に生まれた仲間であり、互いに食物連鎖のなかで助け合って生きていると考えています。いまのように、一方的に家畜を飼って増やして食べれば良いとは思っていません。そして人間自身も、いまの家畜のように管理されるべき存在ではないと思っています。
うまく表現できていないかもしれませんが、長女の自然出産という出来事は、私のような高齢世代にとっても新鮮な衝撃を与えてくれました。そして、現代人がいかに不自然に生きているか、まざまざと見せつけられた気がしています。Halu農法で自然な食べ物を食べ、自然出産で人間が繁栄していく。その先に、とても素晴らしい世界が待っているはずだと、いまは強く感じています。
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