お米の「適正価格」はいくらなのか?

食と農

「お米が高い」と騒ぎになっていて、消費者目線なら「もっと安くしてほしい」ですし、生産者目線なら「まだ安すぎる」です。この話に落としどころはあるのでしょうか。専門家筋の考察に面白い記事がヒットしましたので、一応シェアしておきます。テーマは「米の価格高騰で2倍、本当の理由…『今が適正価格、これまで安すぎ』を検証」です。

結論を先に書いてしまうと、零細農家にとってはこれでも赤字。大規模農家にとっても、コストが上がり続けているので、このままでは経営が成り立たない──という厳しい考察でした。これは私の実感と重なっている話でもありますし、実際に高齢農家の離農は加速しています。

米騒動が起きる前の、いわゆる「無農薬米」の仕入れ価格は、玄米1㎏が600~700円(税別)で、それに送料を加えたぐらいでした。それが、米騒動になってからは30%ほどアップして、800~900円ぐらいになっていると聞きました。もちろん、長い間信頼関係を気付いてきた生産者と卸業者の間では、以前に少し上乗せしたぐらいで取引されていることも私は承知しています。

さて、とりあえず一般的な話として1㎏800円+消費税で仕入れた玄米を卸業者やスーパーはいくらで販売するのかというと、私個人の感覚ではざっと最低でも50%は上乗せして販売すると思います。「高い!」と思う消費者はたくさんいると思いますが、低温倉庫での保管だの、小分け作業だの、配送だの経費を考えると、当然の価格です。

こういった話や数字はあまり表に出てこないと思いますので、ネットで「自然栽培米」の通販価格を調べてみると良いでしょう。生産者が直接販売していても、1㎏1,000円ぐらいになっていると思います。しかも「在庫切れ」がほとんどでしょう。そして、この価格で農家がやる気を出せるのかというと、まあ無理でしょう。というのが私の感覚です。

いまの農業を支える機械類のべらぼうな値上がりは目を覆いたくなるほどです。とくにお米関係は田植え機やコンバイン(収穫期)など超高価で繊細な機械を使っていて、毎年のメンテナンス費用もバカになりません。まして古くなって買い替えるとなったら、1台軽く1,000万円以上するものを簡単に買えるわけがありません。勢い、融資を受けて買うしかないので、家族が大反対して離農が加速するんですね。

では、機械に頼らず人力ではできないのか?

もちろん可能です。ただし、他人様の分まで作れません。家族の分だけです。そして、離農する農家も、家族の分ぐらいは作るかもしれませんが、いままで機械に頼って、歳をとってから人力なんてしないでしょうね。

ということで、表題の「米の適正価格」ですが、現時点で言うと「見当もつかない」が実態です。それほど日本の食料事情は、切羽詰まっているということなんです。さて、どうしましょう。考えたって答えは出ませんから、四の五の言わずお米を作るしかないと思います。自分たちで。

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