「安全な食べ物だということは分かっているけれど、高くて買えない」
これは自然食品に対する一般的な評価でしょう。実際、スーパーやコンビニで売られている食品より、かなり割高です。しかし、視点を変えて工夫すると、意外にお金がかからない暮らし方が発見できるかもしれません。今回はそんなお話です。
<医療費が増える理由と「食生活」との関係>
風邪をひいて病院にかかったり、普段の生活で頭が痛いので頭痛薬を買ったり、医療費が家計に占める割合はばかになりません。統計をみると、1人当たりの年間医療費は約37万円で、「1割が自己負担」だとすると37,000円。それに市販薬の購入は毎月約3,700円なので、年間44,400円となり、合計81,400円です。これは1人当たりの平均額です。もし健康な身体を取り戻して、医療費がかからなくなるとしたら? その答えは食生活にあります。
<生活習慣病・アレルギーを防ぐ“食の選び方”>
初期症状がなく、食習慣などが原因で発症する重い病気を「生活習慣病」といいます。症例としては糖尿病、高血圧、脂質異常症、肥満症、高尿酸血症(痛風)、がん、心疾患(心臓病)、脳血管疾患(脳卒中)、慢性腎臓病などがあります。また現代の食習慣により国民の3割が何らかのアレルギー疾患を持ち、なかでも学校給食が食べられないという子供の食物アレルギーは深刻です。
<自然食を始める前にできる節約術>
現代人の食生活をよく観察すると、外食や加工食品にたくさんお金をかけています。農業の現場のことは、ほとんど消費者に知られていませんが、農薬の汚染の怖さを、現場にいる私は強く感じています。とくに、価格の安い加工食品の原料や、外食で使われる原料や調味料は、身体を壊す一番の原因だと言えるでしょう。実際、厚生労働省は現代人の食生活について、やんわりとですが警告し続けています。しかし、食料の世界にはたくさんの利権が絡んでいるため、強く規制することができないのです。となると、消費者一人ひとりが意識的に食べ物を選ばないといけません。
幸いにも、「安全でない食べ物は買わなければ良い」という選択権は、消費者に与えられています。いわゆるジャンクフードには不思議な依存性があるので、ストレスがたまるとつい食べたくなります。しかし、自分や家族がのちのち病気で苦しむ姿を想像すれば、食習慣を変えることはできると思います。
<玄米と野菜で“食費が減る”理由>
自然食品は、値札を見ると「高いな」と思うかもしれません。それなら、「お試し」で少しずつ食べてみるのはどうでしょうか。お勧めは、完全な無肥料・無農薬の玄米と野菜です。とくに、玄米には完全食に近い栄養価がありますので、食べ方(よく噛む)を学べば、とても安価で、しかも健康な身体づくりの救世主になる食料としてお勧めです。お腹の調子も良くなり、身体が軽くなる経験をしてみませんか。また、お米だけでなく、野菜はぜひ市販の野菜と食べ比べてみてください。味は比較しないとわかりにくいので、野菜にしても加工品にしても、自然食品を購入したら、それまで食べ慣れたものと食べ比べすることで、人生観が激変するかもしれません。
<自然食がもたらす“本当の節約”──医療費が減る暮らしへ>
自然食品を食べ始めると、劇的に変わるのは「味覚」です。変わるというより、生まれた時の状態にリセットされる、と言ったほうが良いかもしれません。「いまの子供たちに野菜嫌いが多い」のはなぜだと思いますか? 逆に、私たちの農園に来る子供たちが、例外なく野菜をバクバク食べるのはなぜなのでしょうか。私たちの農園で「親子サロン事業」を始めて5年が経ちました。ここに来る子供たちは、ナスもピーマンも人参も、ヘタから種から生でバクバク食べています。ところが、家に帰ると市販の野菜は食べないそうです。
そして、自然食品を食べ慣れてしまうと、同時に毒になる食品を買うことも減り、身体の調子が悪くならないので、医療費も減ってきます。これは、すでに自然食生活を始めた人たちに共通する変化です。どこにお金を使うのか。お金をかける方向を変えると、自然食品は決して高くはないのです。
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