日本の農業はリセットされる

政治・経済・社会

「兼業農家は辞めろ」のコメントに対する反論動画。52歳、半農半Xの動画主さん。この方も冷静に農業の現場や問題点について語っています。よく視聴しています。結論から言うと、日本の農業は一度リセット(崩壊)するしか道はないと思います。👉動画リンク

世間では、日本の農業を強くするために農地を集約して、大規模化・効率化を図るしか未来はない──というような空気になっていて、実際に日本の農政もそのように動いています。そんな風潮に乗っかったコメントに対する「反論」なんですが、動画の内容は、日本の農業に関心のある方には、重要な話が詰まっています。

そのなかで最も大きな問題点は、日本の地形や風土は、人間の手で改変することが難しいということです。言わずもがな7割以上が山地である日本で、農業を支えているのは小規模の兼業農家です。その多くは中山間地で営農しています。なぜ「兼業」なのかというと、農業だけで生活できないからです。

一軒一軒は小規模零細農家、つまり個人農家です。農作物を売っても安すぎて現金収入がない。ならば賃金労働で稼がないと、水道光熱費とか、自分で栽培していない作物を購入するとか、子供の教育費などの支払いができません。なかでも中山間地の小規模農家はもれなく兼業のわけで、この人たちが農業を辞めたらどうなるのか、冷静になってちょっと考えてみましょう。

まず、日本の農業生産量は、全体の4割が中山間地で生産されています(農水省統計より)。すでに高齢化による離農が進んでいますが、他の兼業農家が一斉に辞めてしまったら、もはや日本は壊滅でしょう。

一方、平野部の小規模農家は、すでに高齢化で離農する農家は激増しています。ただ、同じ地域の大きな農業法人に畑や田んぼを貸して、引き続き耕作してもらうケースが多く、このことが「農地の集約化」のイメージに重なります。しかし、平野部での集積化はもともと地元の農家は百も承知で、すでにその流れが現実に起きています。しかし、こちらのほうも、中山間地と同様に深刻な問題を抱えています。

中山間地と平野部、両者の問題をそれぞれ見ていきましょう。

中山間地のなかでも田んぼの問題は深刻です。それは「水路」の整備です。川や湧水から引き込む水路、排水路の整備(掃除や修復)は、毎年必須の作業で、地域の農家総出で対処しています。ところが、高齢化で身体が動かなくなってきた農家から櫛の歯が欠けるように人手が減ってきて、やがて維持できなくなるでしょう。そうなると、一般消費者向けの栽培は不可能になり、中山間地の農家は「自家消費」のみで営農するようになるしかありません。

平野部ですが、農業を継がない農家の子弟が増えると、その農地を手放すことになりますが、大きな法人が買ってくれるかというと、コストがかかりすぎるので買ってくれません。とすると借りてもらうしかありません。しかし、大手法人が使い勝手の良い田んぼは借りてくれますが、不便な場所の農地は借り手がつかず、全国に耕作放棄地が増えています。

政府の増産政策には、これらの問題への具体的な対応は含まれておらず、「気持ちだけ政策」であるのが実情です。なぜ形ばかりなのか、という背景についてここでは触れませんが、もう半世紀以上続いている流れ(農家の減少)ですから、現時点ではリセットするしかないだろうなと思います。

同時に、ごく小規模ながら、自らの手で食料生産にチャレンジしている人たち、グループができ始めています。この人たちを中心にして再生していくことになるのでしょう。ただし、それは10年単位で時間のかかる地道な足取りになるでしょう。

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