米高騰の犯人探しの行くえ

政治・経済・社会

2025年9月に入り、お米は「新米シーズン本番」を迎えています。ブランド米の5㎏の価格は軽く6,000円を超えていて、10月にはさらに高くなるでしょう。マスメディアは「なぜ米の値段が安くならないのか?」という犯人探しに躍起になっています。現時点での結論は、JAによる「概算金(がいさんきん)」の高値だとされていますね。

概算金というのは、農家に対しての仮払金(前金)ですが、これが一昨年、昨年から考えて飛びぬけて高くなっています。ざっくり書くと、玄米で60㎏あたり15,000円前後だったのが、今年は30,000円前後に。となると、末端のお米屋さんやスーパーでは5㎏あたり平均で5,000円前後、ブランド米は6,000~7,000円になるのは必然です。

さて、米高騰の犯人は「概算金」なのか?

ちょっと待ってください。冷静に考えてみましょう。なぜJAが躍起になって概算金の値上げに踏み切るのか。民間卸業者が高値で農家からお米を買いあさっていて、日本中で米争奪戦が繰り広げられているからです。では、なぜ「争奪戦」になっているのでしょうか。答えは明白。お米が足りないからです。

政府もマスメディアも、「足りない」とは言いません。言ったら消費者がパニックになるからです。そうは言っても、いずれ秋が深まれば、お米が足りないことも分かってきます。すると、お米の価格はさらに上がるでしょう。

同時に、「高くて買えない」という消費者からコメ離れが起き始めるでしょう。その結果、国産のブランド米といえども選別が始まり、本当に良質で美味しいお米をつくる農家は生き残り、平均的な農家はどんどん廃業することになるでしょう。

いま、日本中に田んぼがあって、お米がたくさんあるように見えるかもしれません。しかし、日本には1億人以上の人間が暮らしています。10%のお米が消えるとすると、1,000万人分の食料が足りないことになります。これは、とても恐ろしいことなのだと思います。ただの杞憂に終われば良いのですが。

コメント

タイトルとURLをコピーしました