子供が育って大人になる。子供が大人に変化する。地球の生き物はほとんどそうでしょう。しかし、「人間だけは違うな」と還暦を過ぎてしみじみ思います。子供が大人に変わるのではなく、子供はそのまま歳を重ね、どんどん自由で素敵な人生になっていくだけ。このことは「確信」と言っても良いでしょう。自分が歳を重ねてきて、「大人になった」という感覚がまったくないのですから。つまり、感覚的には「子供のまま」です。
「いい歳をして寝言か!」と言われそうですが、そうではありません。
日本人は、還暦の誕生日に「赤いちゃんちゃんこ」を着る習慣があるそうです。これは「魔除け」の意味と、「赤ちゃんに戻って新しい人生を歩く」という意味もあるのだとか。認知症になった年寄りが子供のようになる場面も見かけるので、「歳をとると子供に帰る」のだと思われているようですね。
最近のことですが、孫の成長を見るにつけ、ふと「年寄りが赤ちゃんに帰るのではなく、赤ちゃんがそのまま歳をとるのだ」と気づきました。いまや科学の発展によって、いろいろなことが解明されています。人間には「魂」と呼ばれる意識体があって、その意識体が「身体」に宿って生まれてきます。そして、それぞれの意識体は目的(あるいは使命)を携えて肉体に宿ります。ところが生まれたばかりの赤ちゃんは、脳の神経細胞のつながりがめちゃくちゃで、骨格も筋肉も自由になりません。なので、10数年の時間を使って、意識体が身体を自由自在に使えるよう鍛錬するのです。
このとき、いまどきの大人たちが「子供は未熟だから指導してやらなきゃいかん」と言って、子供を縛り付け、偏った価値観で脳や肉体をいじるものだから、ほとんどの子供たちは心も身体も委縮してしまって、意識体の持つ目的を見失ってしまうんですね。そして、子供から「大人」と呼ばれるうつろな存在に変わってしまう。
逆に、周囲の大人が辛抱強く見守ってくれた子供は、伸び伸び育つことができるので、身体が大きくなるに従って、当初の目的である夢を実現できるようになります。こうした子供たちは、「大人」になるのではなく、子供のまま歳を重ねているだけなんですね。人格は何ひとつ変わりません。
なので、還暦を迎えたとき、「子供のまま人生を送ることができて幸せだった」という感謝の気持ちをあらためて意識し、その感謝の心を次の世代に渡していく。それが年長者の本来の役割なのだと思うわけです。
現代人は、物質文明の発展とともに、大切なことを忘れてしまっています。いまからでも遅くないので、子供のころに描いていた夢を思い出しましょう。その姿が、きっと周りの子供たちの目を輝かせることになると思います。

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