自然食品はなぜ高い?──本当の理由は“食と社会の仕組み”にあった

生活と人生

「農薬を使った野菜は食べたくない」
「添加物を使った加工品は避けたい」
「子供のアレルギーがひどくて……」
自然食品店は少しずつ増えているようですし、大きなスーパーでも「オーガニック商品」を積極的に販売しているところも増えている気がします。私たちがお世話になっているオーガニックスーパー「クランデール」さん(千葉県松戸市)では、100%オーガニック商品だけを並べている「ココシーズンズ」という店舗を敷地内に開設し、私たちが育てている野菜や加工品を置いていただいてます。

しかし、一般に「自然食品は高価で、なかなか手が出ない」と敬遠する消費者が多いでしょう。たとえば私たちの育てる野菜は、肥料も農薬も使いません。それなのに、一般の野菜より割高で販売しています。なぜ自然食品は高価なのでしょうか。今回は、その謎解きをします。

まず、答えから行きましょう。ポイントはいくつかあります。まず1点目。それは、自然食品として販売される農作物も加工品も少量しかできないので、そもそもコストが大きいことです。たとえば収穫や出荷の手間、輸送料などは、大量生産している生産者、メーカーと違って効率が悪く、それだけでも値段が高くなってしまいます。

2点目。これはとても重要なことで、消費者の収入が「質の悪い食料を購入できる金額しかもらえていない」という現実です。このような指摘をするジャーナリストはいままで出会ったことはありません。しかし、このことは真実なんです。

もう少し詳しく考えてみましょう。江戸時代の日本の人口は最大3,300万人と言われています。つまり、日本の国土では、3,300万人の自給自足が可能な環境をすでに持っていることになります。その後、人口は爆発的に増えて、いまや1億2,000万人にもなっています。その分の食料を生産するために、私たちは化学肥料や農薬を使った農作物、さらには多様で大量の食品添加物に頼って食料を量産して対応してきました。大規模な機械化も功を奏して、安い食料品がたくさん世の中に出回りました。

増える人口に対応するために、当初は当然の選択だったかもしれません。しかし、すぐに「農薬なしには育たない農作物」、「食物アレルギーや生活習慣病」などの問題が出てきました。その問題は半世紀以上もフタをされ、安くて危険な食料が生産され、それが庶民に分配され続けました。農業や食品業界からは、そのような流れを改善しようという空気は生まれませんでした。むしろ、政府がその流れを積極的に後押ししてきたのです。

いま、戦後80年が過ぎています。日本の庶民は、質が悪く安い食料しか購入できない賃金体系になってしまい、それが「当たり前」、「常識」とすっかり刷り込まれてしまいました。だから、安全な本物の食料品が高いように錯覚させられているのです。

3点目。有識者と呼ばれる食品関係者や農業技術関係者が利権まみれになり、政府もそのまま何ら手立てせずに放置してきた責任が重いことです。農業大国であるアメリカから「大量の農産物を輸入しろ」という要求がとめどなく続き、敗戦国である日本はその要求を呑むしかなかった、という負の歴史遺産も大きな理由のひとつでしょう。政治家がもし高い志を持っていたならば、安全な農作物を育てる技術開発に全力を傾けたはずです。(志の高い政治家が不慮の死を遂げた例もたくさんあるので、一概に政治家を批判することはできません。この問題は根が深いので、これ以上深く掘れませんが……)

では、最後に解決策を提案します。いま、農業技術という視点で書きますと、肥料も農薬も使わず、安全で美味しい農作物を量産することは可能になりました。また、価格が高いように見えると思いますが、実際には栄養価が高いので、少量食べるだけで十分ですし、身体が健康になるので、医療にかけてきたお金も不要になります。

自然食=健康体維持(むしろ安い)
従来食+医療費=不健康維持(むしろ高い)

ということになります。健康体でいられるだけ、むしろ安く済むのではないかと思います。今すぐにでも、身体を壊す食べ物から、身体を強くする食べ物に替えてみることを強くお勧めします。これは、いま育ちざかりの子供のため、これから生まれてくる子供のために、とても大切なことだと思っています。

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