自給自足を“憧れ”で終わらせないために

子育て

前回投稿した記事の続きです。

生活に疲れてくると、田舎に移り住んで「自給自足」の生活を送りたいと思い描く人は多いように思います。ネット検索すると、実際に自給自足生活を送っているという個人、家族の動画などがいくつかヒットします。試しに視聴してみると、ひとつ大きな疑問がわいてきます。それは、「この生活で世代をつなぐことができるのだろうか?」ということです。小さな子供たちは納得しているのだろうか? 成長して、自分の考えや判断で生き抜いていくことができるのだろうか? 家族を持って、子を産み育てることができるのだろうか?

もちろん、「今の生活から抜け出したい」という動機で自給自足を目指すのは、きっかけとしてはアリだと思います。しかし、ほとんどの人は「子育て」や「仕事」、「収入」などの問題が浮かんでしまい、実行に移せる人はまずいないでしょう。思い切って新しい生活を始めても、すぐに挫折する話をよく聞きます。

自給自足なんて夢のまた夢なのでしょうか?

そんなことはありません。そもそも江戸時代まで、日本は自給自足の国だったのですから。いまは時代が違いますから、どこがどう違うのか、冷静に考え、自給自足の生活を組み立てていけば、そう難しい話ではない、と私は考えています。その一番の理由は、「自然の恵みである食べ物を、ある程度思い通りに手に入れることができるようになった」からです。

冒頭で書きましたが、「現金収入を得るための仕事」「子供の教育」「医療」「水道、電気、ガスなどのライフライン」、こうした問題が頭をよぎると、「自分の力では対応できない」と尻込みしてしまうでしょう。実は、私自身もそう考えていました。しかし、いまは違います。自給自足していた昔の日本を振り返り、どこが大切なポイントなのかが判明したのです。それは、「日本の食文化」です。

日本の伝統的な食と言えば、いわゆる「一汁一菜(もしくは一汁三菜)」です。お米と味噌汁、それに漬物です。お米は薪で煮炊きします。味噌汁も漬物も「発酵食品」ですから、火は不要ですね。これらは、石油を使いません。電気も使いません。鍋と薪、そして樽があれば立派に自給自足できるではありませんか。そもそも、電気やガスは不要なのです。

「水は?」

その通りですね。水はもちろん不可欠です。日本で未開の地に引っ越すのでなければ、水道か井戸があると思いますから、しばらくは問題ないと思いますし、資金的な余力があれば、新たに井戸を掘ればよいのです。手動式のポンプをつけておけば、電気は要りません。

それよりも、そんな生活が長期間続けられるのか?という問題のほうが重要です。そこで考えました。「日本の伝統食をまず維持できる質と量を確保しよう」と。そしていま、無肥料・無農薬という最高品質の食料として、米、麦、大豆、味噌、醤油、野菜、鶏肉と卵がそろいました。そして、それは十分に量があるとなれば、次のことが可能になります。

それは、衣類をつくる職人、家を建てたり修繕する職人、農機具を手作業でつくる職人を仲間に迎え入れることができます。なぜなら、私たちには、世代をつなげられるほどの食料があるからです。そして、このことが日本の国を支えてきた基礎であり、これから私たちが実現すべき社会の基礎でもあると、私は考えているのです。

米、麦、大豆、味噌、醤油、野菜、鶏と卵。これは個人やひとつの家族で用意できるものではありません。もともと人間という種族は、群れで生活する生き物ですから、仲間と一緒に生活を維持・発展させていくしかありません。ただし、仲間になるには、互いにストレスを掛け合う関係ではなく、ストレスのかからない適度な距離で、助けが欲しいときに気軽に助け合える距離が望ましく、その距離感も「最新の心理学」や「コミュニケーション技術」によって、ほぼ解決することができる時代なのです。

それに、いまは世界が狭くなっているので、世界中の人々が気軽に移動することができます。生まれてから一生涯同じ場所で生きるのではなく、世界中を旅して人生を楽しむような時代でもあります。

そうなると、いま必要なことがはっきりしてきますね。それは、基本的な食料となる米、麦、大豆、味噌、醤油、野菜、鶏と卵をつくる仕事を始めるということです。もちろん、単独でどれかを担うのではなく、そんな取り組みをしているグループに入っていくことです。そうすれば、無理なく自給自足の生活ができるはずですし、子供の将来も心配することはありません。

私たちも試験的にいろいろ取り組んでいますが、目先のことととして、幼少期の子育て支援を目的とする「親子サロン」はすでにスタートしており、まもなく「小中学生のための自然塾」を開校する予定です。まだ原始時代の生活に追い込まれているわけではないので、インターネットやAIの知識も学びながら、自然とつながった幸せな生活がすでにほぼ実現できているのです。

ぜひ、そのような取り組みをしているグループを訪ねて、憧れの自給自足生活を求めてください。私たちのグループももちろん仲間を求めています。

👉未来社会へのベースキャンプ
👉緊急避難プロジェクト

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